The Institute of Expression
Non-verbal Communication

ノンバーバル・コミュニケーションのいろいろ

ノンバーバルコミュニケーションには、どういうものがあるのでしょう?  ここでは、ノンバーバルコミュニケーションが使われる目的や影響を基に区分けをしながら、ノンバーバルコミュニケーションの種類をリストアップしてみます。

ただ目的は、一つのノンバーバルコミュニケーションが一つの目的を持っているのではなく、状況や場面によって目的が変わる場合があります。  また一つのノンバーバルコミュニケーションが複数の目的を持って使われることも多くあります。  ここではより重要な目的で区分けしています。  あくまで「表現の学校」の独自の区分けとお考えください。

ニア・ランゲッジ

ニア・ランゲッジとは、言葉を話す時の声に関わることを言います。  私たちは言葉を発するとき、ただ声を出しているわけではありません。  発音や発声などいろいろな要素を使いながら言葉を話しています。

発声 声を出すことですが、声の大きさや強弱や音の高低を調節する目的を持っている。
共鳴 いい声と呼ばれる基になるもので、声がいいと耳を傾けることにつながり、信頼感や説得力、存在感などにつながっていく。
抑揚 声の高低や強弱を使って、言葉の意味の違いを伝えるだけでなく、感情や気持ちを表現することができる。
滑舌 日常のコミュニケーションや表現では、早くとかなめらかにではなく、いかに明確に違和感なく言葉を話すかの技術が重要な目的である。
発音 口や舌、それと声帯によって作られる一音一音の明瞭さを問われているが、アナウンサーなどのプロでない限り、言葉が明確に伝われば問題はない。
※方言 現在はマス・メディアの影響で標準語も方言も一般的になってきている。  したがって必ずしも標準語にこだわる必要はない。

この6つが言葉を話す時のニア・ランゲッジとしての要素です。  下の2つは目的や状況によっては矯正が必要ですが、日常の一般的な表現やコミュニケーションでは矯正は必須ではないと考えます。  方言はノンバーバル・コミュニケーションではなくバーバル・コミュニケーションですが、人の印象に影響し、ある状況によっては表現やコミュニケーションに影響を与えるため、「表現の学校」ではニア・ランゲッジのレッスンで指導する場合もあります。
 上の4つに関しても、プロのような訓練は必要はないと考えています。  意識を変えるためのモデリングと体験レッスンだけで、改善することができます。

具体的に意味を伝えたり、感情や意思を表すノンバーバル・コミュニケーション
動作 手足や上体、頭などを動かして意味や感情を伝える動きを言う。ただし、社会で決められたマナーやマニュアルなどは所作・しぐさに分類した。動作には、言葉をフォローする役割や印象を操作する役割、自分自身の内面に影響する役割など、ほとんどすべての役割を含んでいるが、表現やコミュニケーションに最も有意に影響する意味や感情を表す役割に分類した。
表情 感情を最も表す筋肉反応である。この感情を表すということから、印象操作にも影響する。一般の人は普段は表情を意識することはほとんどないが、自分の顔を視認しながらそれぞれの筋肉を意識することで、難しくなく表情を作ることができるようになる。意識的に表情を作ることは自分自身の内面に影響を与えるだけでなく、自分自身を客観的に視る“第3の自分”を意識することに役立つ。
視線 本来は、視ることによって情報収集の役目を持つものであるが、相手をみたり、何かを見ることによって、意味を伝えたり、感情を強調する機能がある。また目の形状は、表情や姿勢と相まって感情をよく表すものであるが、元々のその人の持つ目の形状や目の微妙な動きによって、コントロールは難しい。
接触行動 手をつなぐとか肩を組むなど、身体と身体が接触する行動のことを言う。東洋の文化はこの接触行動を好まないが、最近はラテン系の文化の影響で、バグなどが行われるようになってきた。相手に感情を伝えることで大きな影響力を持つとともに、自分自身の内面に対する影響も大きい。幼児や低年齢の子供には、親の接触行動が育成に大きな影響を与えていると言われている。

「表現の学校」では、上記の4つを意味や感情・意思を表すノンバーバル・コミュニケーションとしていますが、この4つとも全て、印象操作や自分自身の内面などにも影響を与えます。 コミュニケーションのなかでは、感情表現や意思表現をする場合、これらの行為を意識的に行う必要はありません。  意識的に行うと、どうしても不自然さが出てしまいます。  いかに自然に、違和感なく、使えるかが課題となります。
 特にこの4つは、表現においてもコミュニケーションにおいても非常に重要なスキルです。  それは感情表現が、印象にも、またその人自身の想像力や感受性、判断力、説得力などの内面にも大きく影響を与えるからに他なりません。

印象操作に関わるノンバーバル・コミュニケーション
姿勢 表現する上で、印象操作だけでなく、感情表現などの表現全般に大きな影響を与える。 「表現の学校」では、発声や表情にも影響を与えるため、すべての表現の基礎をなすものと考えている。
ウォーキング 目的に対して行う行動の一つとして思いがちであるが、歩き方によって与える印象はかなり大きい。場の状況や雰囲気、またその人の服装によって歩き方を変化させる必要がある。
体型 簡単に体型を変えれるものではないが、服装を含めた容姿から相手に与える印象は大きい。したがって自分自身の体型と相手に与える印象を知った上で、それを利用した表現を工夫する必要がある。
容姿形成 服装 自由に選択し変えることができるだけに、印象を操作するだけでなく、自分の主張やアイデンティティを表現することができる。逆にグループへの所属意識を表すこともできる。その所属意識が会社や組織のアイデンティティを表すこともあり、またその地域の文化を形成することもある。
メーキャップ もともとは美意識への個々のアプローチとして行われているものであるが、近年は顔の印象をフォローする役割を持つ。それと共に個々の劣等意識をカバーするというような内面への影響も大きい。それが常態化し、化粧をしないと外に出れないという女性もいる。表情による表現に与える影響は大きいので、注意が必要である。
めがね 視力をカバーする目的で使われるものであるから“使用品”と同類であるが、表現にとって最も影響力の大きい顔に付けるだけに注意が必要である。特に目による感情表現や強調を緩和する作用がある。
髪型 服装やメーキャップと相まって、印象に対する影響は大きい。また表情による表現にも影響を与える。
装飾品 使用品と違って強い目的を持たずに身につけるものを言う。服装と相まって、位などやアイデンティティを表現することもある。また社章やバッチなどのグループへの所属意識も表現することもあり、自分自身の内面に影響を与える場合もある。
持ち物・
使用品
何らかの目的を持って身に付けたり、使用したりするものを言う。衣服もこの分類に入るものである。装飾品と同じように位やアイデンティティを表現することもできる。内面への影響も考えられる。

これらのノンバーバル・コミュニケーションは、自分自身の印象を操作するもので、これらを意図的に行うことで表現と呼べるものです。 本来ノンバーバル・コミュニケーションは自分自身の肉体や筋肉を使うことによって表現されるものですが、最後の容姿形成は、モノを使った表現です。 それだけに訓練や意識を伴わず印象を操作することができます。 容易に印象操作ができるだけに美意識に訴えかけたり、個性を出すための物や方法が提案されています。 「表現の学校」では、この容姿形成は、多くの外部の提案に任せ、基本的な考え方の紹介だけにとどめています。

行動や動作に含まれて相手に影響を与えるノンバーバル・コミュニケーション
リズム・
テンポ
歩くときのリズム、呼吸のリズム、話すテンポなど、人の筋肉を使った動きには必ずリズムとテンポが関わっている。このリズムとテンポによって、感情や気分を表したり、印象に影響を与えるだけでなく、自分自身の内面への影響も大きなものがある。
言葉や動作の区切りの時に、次の言葉や動きまでの間の何も起こらない時間のことをいう。この“間”は、その前の表現の余韻を感じたり、その後の行為に期待感を抱いたりすることで、前後の行為の意味や感情を強調する。またこの“間”によって、その人の印象にも影響を与えることがある。
呼吸 人が生存するための筋反応であるが、随意筋によりコントロールすることができる。情動や感情によって影響を受け、逆に呼吸をコントロールすることによって内面を変化させることもできる。“ため息”などによって感情や気分を表現することもある。相手に無意識に影響を与えている。
対人距離 相手との距離により、声の大きさなどそれぞれのノンバーバル・コミュニケーションの影響力も変化し、効果的な表現方法も変わる。逆に距離を意識的にコントロールできれば、より効果的に相手に影響を与えることができる。
位置 距離と同じように相手が自分に対してどこに位置するかで、表現方法や影響が変化する。また座席位置などをマナーやしきたりによって基準が設けられていたりして、その位置によって位や立場、また意志や気持ちを表現することもできる。
方向 表現には方向性がある。大勢の聴衆を前にして話す場合と1対1の対人コミュニケーションでは、言葉や声、動作などの表現方法が変わる。位置や距離と関係するが、相手に正面を向けて話すだけでなく、背中を向けて話す場合や横にいる人に話す場合など、その方向によって表現方法が変わる。

これらは直接表現として意識されるものではありません。 しかし他の表現と相まって、相手に大きな影響を与えています。 日常の中では表現する側も意識する人はほとんどいないのではないでしょうか。 しかし俳優や演出、歌やダンスなど表現を必要とするパフォーマンスをする人は、かなり強く意識しています。 またスポーツや茶道などの決められた所作を行う場合は、これらのスキルを駆使して表現しています。 日常でもこれらを適時意識することによって、無意識に影響を与えることができるものです。

次は各項目に関して、目的と状況に合わせた使われ方とその効果を述べていきたいと思います。


記: 沖田 さとし
Next
Non-verbal communication site menu
参考文献
マジョリー・F・ヴァーガス
「非言語コミュニケーション」
新潮選書・石丸 正 訳
V.P.リッチモンド
J.C.マクロスキー
「非言語行動の心理学」
北王子書房・山下耕二 編訳
春木 豊
「動きが心を作る」
講談社現代新書
大坊郁夫
「しぐさのコミュニケーション」
サイエンス社
相川充
津村俊充
「社会的スキルと対人関係」
誠信書房
植村勝彦
松本青也
藤井正志
「コミュニケーション学入門」
ナカニシヤ出版